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「あなたが、
心底秋良を大切にしているのはよっくわかっているのよ。
いつだったか、
酔ったあの子を連れて帰ってきた時、
背負ったあの子に背中で吐き戻されても、
真っ先に案じたのはあの子の様子だったでしょ。
自分が汚れても気にしないなんて、
実の男親でもなかなか。
あの一件で見直したんですよ――」
そして、
元来た道をぱたぱたと小走りに帰って行った。
あの人は、
あんなに小さかったのか、
手や顔に皺が刻まれ、
髪も白髪が半分以上混ざり、
背中が丸くなった……。
自分も中年なのだから、
まわりの人も皆等しく歳を取る。
当然のことだ。
慎一郎は、
義母になる人の後ろ姿に深々と一礼した。
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