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手を伸ばして、
指輪を眺めていた秋良の姿が、
子供の頃の様子とかぶった。
人は避けられない事があるんだな、
いろいろと――
彼女とは人生が重なる時が何度も何度もあった。
でも、
拒んだのは自分。
これからは、
擦れ違わないように結びつきたい、
もう、
彼女を泣かせたり悲しませたくない。
毎月は難しくても可能な限り通っていた母の月命日。
あの人が好きだったのは花なので、
辛気くさいと嫌っていた線香は持たず花だけ、
気の利いた花束を買う時もあれば、
間に合わなくて、
庭の花を摘んで(というよりむしって)持って行く時も、
今日のようにコンビニエンスストアで仏花を買う日もあった。
月並みな仏花は一番嫌うことだろう、
「女心がわかっていない」とか「横着者」とかなじられそうだが、
今日は許してもらおう。
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