- 転換点 #4

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「それを聞いて思った、 母は君に会っている、 と。 君は話し方が私の母に良く似ているから」 「私……気付かないうちに、 慎一郎さんのお母様と生きてきたんですね」  ほっそりした指を持つ佳人、 彼を育てた人。 どんな女性だったのだろう。 「もう一度、 お会いしたいわ」  ぽつりと言う。 「今、 会って、 たくさんお話をしてみたかった」  起こりえない風景が、 慎一郎の中に去来する。  くるくると身軽に飛び回る母と、 変わらない速さで隣に立つ秋良。  大変かまびすしく、 そしてしっとりと語り合うであろうふたりを、 自分と父が眺めている様を。
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