ー 6 ー 茉莉花の日記 #2

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【3】 あなたが ほしい  慎一郎が目を覚ましたのは、 額に触れる冷たい感触からだった。  冷やした濡れタオルが心地良い。 子供の頃は、 よくこうして熱を出した。 母の触れる手やタオルを替える父の存在が嬉しかった。 けれど、 現実問題、 両親から看護を受けるのは不可能だ。 なら―― 「起こしてしまいました?」  気遣わしげに掛ける声のタイミングは絶妙だ。 薄く目を開けた先には秋良がいた。 「ごめんなさい、 夕食をご一緒にと思って電話したのですけどお出にならないから、 呼びに来たんです。 電気が点いていたし……。 上がってしまったのですけど……。 慎一郎さん、 倒れているから、 驚いてしまって……」
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