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「それは勘弁してくれ」
笑う声も乾いて痛々しい。
この人が寝込む様子は想像できなかった。
私が知る限り、
珍し過ぎるのではなかろうか。
額にタオルを乗せ替えて、
秋良は一旦外へ出る。
実家へ、
夜着と、
食事と、
幾ばくかの薬、
その他足りない物を取りに戻る為に。
「風邪より疲れかもね。
男の人は案外弱いから。
すぐ熱を出すわ」
と秋良に看病グッズを渡しながら道代は言った。
「思い出した、
高校の頃は熱を出して何度か倒れていたわね」
「そうだった?」
「ええ、
『お兄ちゃんが死んじゃう』って泣きながら走って呼びに来たことがあったけど。
忘れちゃった?」
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