ー 6 ー 茉莉花の日記 #2

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 回りくどい――。  慎一郎は呆れる。  想い合うふたりが、 お互いに心許すまで、 ここまで手続きを踏んで、 相手を傷付け、 自分も傷付かないとならないのか。  「素直に言えば良かった、 好きです、 と」と言ったのは秋良だった。 端から見ると、 自分こそその回りくどい、 面倒くさい人間の好例ではないか。 両親の言い合いの期間は日記ではわからないが、 大した日数ではないだろう、 自分は何年だ? 人のことは言えない。
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