ー 6 ー 茉莉花の日記 #2

6/35
前へ
/35ページ
次へ
 後は、 だいたい慎一郎も知る通り、 事実婚に近い関係で、 妙な三人家族の日々が続いた。 彼は子供だったから気付かなかったが、 時折、 正妻との離婚・母との再婚の話が父から出されており、 その度母は国内外へ出奔して行方をくらましていたようだ。 慎一郎を連れて。  気紛れであちこちを旅させられていたのではなかったのか。  母の心情はわからなくもないが、 ここはひとり取り残された父に同情した。    子供の頃、 何の気なしに訊いた、 『二号の子供』に関する思いも綴られていた。  二度目に訊いた時、 母は泣いた。 二度目の方が堪えたとあった。 彼も、 これは心に痛みを覚えた。 子供は時として残酷だ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加