ー 6 ー 茉莉花の日記 #2

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 その頃から、 体調不良を訴える記述が目立つ。 母の病気は急に訪れたものではなかった。  兄が高輪の家へ来て、 母に酷くやり込められた件も書かれていた。 「父を返せ」と訴える子供に、 「私は慎さんの子供を産んだけれど、 慎さんを取ってはいない」と言ったとある。 母らしい返答だ。 あの母を相手にするには、 当時の兄では役不足だっただろう。  ――まあ、 いきなり慎一郎を殴ったとあるから、 仕方がないか。 当時から兄は口より手が先の人だったんだな。 書かれてはいないが、 母が口だけで済むはずがない。 平手か拳骨のひとつくらい返した可能性は――大いにありそうだ。
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