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その頃から、
体調不良を訴える記述が目立つ。
母の病気は急に訪れたものではなかった。
兄が高輪の家へ来て、
母に酷くやり込められた件も書かれていた。
「父を返せ」と訴える子供に、
「私は慎さんの子供を産んだけれど、
慎さんを取ってはいない」と言ったとある。
母らしい返答だ。
あの母を相手にするには、
当時の兄では役不足だっただろう。
――まあ、
いきなり慎一郎を殴ったとあるから、
仕方がないか。
当時から兄は口より手が先の人だったんだな。
書かれてはいないが、
母が口だけで済むはずがない。
平手か拳骨のひとつくらい返した可能性は――大いにありそうだ。
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