ー 茉莉花の日記 #3

2/34
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「でも、 恥ずかしい……」  消え入りそうな声で応える。 外は明るい。 室内も同様だから、 丸見えになってしまう。   「僕もだよ」  背に回した掌で、 背を撫で、 もう片方の手は頭を抱える。 何度も頬擦りして。 「君に怖がられたらどうしようかと」 「怖い……です、 とっても……」  彼の背はとても広い。 指先に伝わる感触を確かめてみたい、 衣服越しではなく、 直に。 夜着をぎゅっと握りしめ、 言った。 「どうしたらいいか、 わからないから……」 「抱き返してくれ、 今みたいに」  秋良は、 言葉には乗せず、 何度も頷いて、 彼にしがみついた。  私達は、 やっと結ばれるのだ、 この人が育った家で。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!