ー 茉莉花の日記 #3

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「あなたが人を招くのに恥ずかしくない場所にして下さい、 後はどうとでも」 「ふむ、 では……」  と、 彼が速攻で挙げた会場名は、 彼女の見合い場所で、 結婚式場としても格式のある著名なところだったが、 秋良は強烈な「イヤ!」を返した。  慎一郎さん、 口には出さないけれど、 本当は怒っていたのでは? お見合い話、 と彼女は思う。 秋良のお見合い事件は、 ふたりの間では折に触れてチクリと刺される話題になりそうだ。 「週末も終わりだな」  彼は天を仰いで言う。 彼女に合わせて歩調をゆっくりとる彼とふたり、 歩きながら。 「初めてばかりの出来事でした」  パンプスのつま先で小石を弾いて、 秋良は言う。
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