ー 7 ー 慎一郎と 秋良の愛 #2

1/33
前へ
/35ページ
次へ

ー 7 ー 慎一郎と 秋良の愛 #2

夢の中の女  親をあてにしないで、 と秋良の母が小言を言わなくても、 ふたりはそれまでのスローで歯がゆい関係から一転して、 新生活へ向けて、 こまねずみのように奔走した。  主に慎一郎が積極的に動いたので、 フライトから帰る度に準備が整っていくのを見るにつけ、 「彼はなにもしてくれない」「男性は本当に何もしてくれない、 と、 一度は大喧嘩するものよ」と耳打ちした友人たちの話とはずいぶんと違う、 と思った。 もっとも、 慎一郎と大喧嘩する自分が一番想像できないのだが。  秋良が想像する以上に早いペースで次第は整い、 尾上の本家、 そして慎一郎の生家への引っ越しが済んですぐに、 ふたりは華燭の典を迎えることとなった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加