23人が本棚に入れています
本棚に追加
ー 7 ー 慎一郎と 秋良の愛 #2
夢の中の女
親をあてにしないで、
と秋良の母が小言を言わなくても、
ふたりはそれまでのスローで歯がゆい関係から一転して、
新生活へ向けて、
こまねずみのように奔走した。
主に慎一郎が積極的に動いたので、
フライトから帰る度に準備が整っていくのを見るにつけ、
「彼はなにもしてくれない」「男性は本当に何もしてくれない、
と、
一度は大喧嘩するものよ」と耳打ちした友人たちの話とはずいぶんと違う、
と思った。
もっとも、
慎一郎と大喧嘩する自分が一番想像できないのだが。
秋良が想像する以上に早いペースで次第は整い、
尾上の本家、
そして慎一郎の生家への引っ越しが済んですぐに、
ふたりは華燭の典を迎えることとなった。
最初のコメントを投稿しよう!