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自分を『私』から『僕』と呼ぶようになって、
ひと皮もふた皮もむけた気がする。
自然体になった。
時折、
第三者には『私』で話しているのを聞くと、
違和感を感じるくらいだ。
聞き慣れているのは『私』の方なのに。
切なく片想いをしていた当時は、
手が届かなかった人。
恋人として、
婚約者として、
そして今日、
役所へ婚姻届の提出を済ませたふたりは、
夫婦として歩んでいく。
よく引き合いに出されるのが、
昼間は貞淑な妻、
夜は娼婦のように、
という例えの逆が、
慎一郎には当てはまる気がする。
身体を重ねる度、
思う。
この人は、
本当に女を知り尽くしている、
ということを。
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