ー 7 ー 慎一郎と 秋良の愛 #2

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 このことを、 秋良は乗務中に、 客の反応で知らされた。  彼女はアッパークラスの担当だったので、 乗客もそれに相応しい人間が乗るのが通例だ。 その中で何人かが、 彼女の指に目を留め、 おや、 という顔をする。 そのことが続いたある日、 乗客の一人に指を掴まえ、 激しく詰め寄られた時に、 ただものではない、 と思った。 しまいには指ごと口にくわえ込まれたので、 「いやーっ!!!」と思わず悲鳴を上げてしまった。 彼女の声に振り返った乗員乗客は、 腕をぶんぶん振り回す秋良と、 その指に食らいつく客の頭ががくがく揺れる様を、 呆気にとられて見守っていた。 客の殺気に近い気迫に圧された時は、 仕事を忘れて恐怖感に青ざめた。
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