ー 7 ー 慎一郎と 秋良の愛 #2

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 鑑定士は、 まず件のレッド・ダイヤモンドに絶句し、 共に持参した宝石箱に並ぶ色石を見、 明らかに舞い上がっていた。 「どれもこれも超一級のダイヤモンドですよ、 来歴をたどると大変なことになるでしょう、 どこでこれを?」  言われて答えられる慎一郎ではない。 言葉を濁す彼に、 「そうでしょうね、 言えませんよね」  とひとり納得した。 「正式に鑑定をしますか」  の問いに、 この世には知らない方がしあわせなこともあるからと、 慎一郎も秋良も丁重にお断りを入れた。 「素晴らしいものを見させてもらいました」
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