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鑑定士は、
まず件のレッド・ダイヤモンドに絶句し、
共に持参した宝石箱に並ぶ色石を見、
明らかに舞い上がっていた。
「どれもこれも超一級のダイヤモンドですよ、
来歴をたどると大変なことになるでしょう、
どこでこれを?」
言われて答えられる慎一郎ではない。
言葉を濁す彼に、
「そうでしょうね、
言えませんよね」
とひとり納得した。
「正式に鑑定をしますか」
の問いに、
この世には知らない方がしあわせなこともあるからと、
慎一郎も秋良も丁重にお断りを入れた。
「素晴らしいものを見させてもらいました」
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