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と名残惜しそうに帰る業者を見送りながら、
一同はひたすら呆けていた。
秋良はぽつりともらしたものだ、
「あなたのお母様の御実家は、
一体何者なの?」
と。
「僕もわからないんだよ」
と慎一郎もポカンとしていた。
これは、
是非ともご老体に訊かねばなるまい。
「高遠のお嬢様なら、
あるいは……」
と、
宝石店の店長は一人納得していた。
その日以降、
身の危険すら招きかねないレッド・ダイヤモンドは一旦封印された。
新たに贈られた婚約指輪にと、
店頭に並んでいた控え目な石を選ぼうとすると、
今度は秋良の母が言う。
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