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慎一郎の予想通り、
彼の昇進が本決まりになると簡素な式ではすまなくなり、
駆け足で決まった宴でありながら、
大がかりなものとなった。
招待客リストをふたりで作っていると、
それまで生きてきた道のりが招く人々の顔で浮かんできて、
慎一郎は改めて思うのだ、
人生を恨みに捕らわれた生き方をしても仕方がないのに、
いろいろな人と交わり、
愛せと言っていた母の願いは少しでも叶えられたのだろうか、
と。
リストの中には高遠の伯父も含まれていた。
末席で良いと言って、
老人は泣いた。
そのリストを見て、
顔をひきつらせたのはふたりの身内である裕だった。
彼女に招待状と卓上の名前札と引き出物用の名札を書く筆耕を依頼したからだ。
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