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ここは何といっても外なのだ、
自宅ではなく、
学校で、
彼の職場で、
誰が来るかもわからず、
見られるかもしれない場所で――
「慎一郎さん、
待って」
身を離そうとする秋良を許そうともせずしっかり抱えているから、
彼女は動けない。
「何故?」
「だって、
何故って……ここはあなたの学校だし」
「大丈夫、
ドアは閉めてあるから」
確かに、
ドアが開いていなければ主は不在は多くの人が知るところ。
だが、
しかし。
「そういう問題じゃなくって!」
胸板に両手を付いて、
押し止めようとする。
力で押して叶う相手ではない。
こんな時、
慎一郎は一気に力を緩め、
触れるか触れないかのキスを落とす、
彼女が抗えないところを、
確実にねらうように。
今もさにあらずで、
こんな時にずるい、
と秋良は思う。
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