2人が本棚に入れています
本棚に追加
転がっている自分はピクリとも動かない。それを他でもない自分自身が見下ろしているのだから、恐らく俺は予定通り死ねたのだろう。
(ってことは、こっちの体は幽霊なのか)
裸足ではあったが足はちゃんとあり、頭や背に天使の輪や翼が付いているなどということもない。
そんなものを信じていたわけではないが、幽霊というイメージにありがちな状態にならかったので、どうにも自分が幽霊になったという実感がなかった。
「あー、こんな顔で死んでやがる……発見されたとき恥ずかしいじゃん。どうせならもっとマトモな表情で死ねよな、俺……」
だが俺の興味はもっと緊張感のないところにあった。
相手を取り得ない呟きは、闇に包まれた虚空に消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!