第10話

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バシッと背中に痛みが走って手持ちのグラスから赤いカクテルがこぼれそうになる。 「お、落ち込んでないよ!!」 音楽に負けないように言いたくて、背中のジーンとした痛みへの反応もあって、すこしだけ声をだしすぎたかもしれない……。 周りの人がこっちをチラチラ見た。 気恥ずかしくてちょっと顔を伏せて、ちょぴっとグラスに口をつける。 オレンジとカシスの味が口の中に広がる。 ――南ちゃんの言うとおり、ここに来てからやっぱり自信がなくなってる……。 「特殊な仕事だから心配になるのもわかるけど、しっかりあんた好かれてると思うよ?」
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