第10話

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その腕や指が動くたび目線は追ってしまう。 少しだけいつもより早い心音と、握った自分の手が少し緊張で汗ばんでる。 でもそれは全部、オオカミさんを見ているから。 ほかの人を見て、こんな気分になったことない。 ステージから離れたところにいるわたし。 前にはたくさんの女の子。 女の子たちの背中から伝わってくるのは、いまのここの空気を楽しもうとしてる気持ち、高揚感、そして――聞こえてくる。 「かっこいいよね」 「巽さんー!」 ――黄色い声援……。 みんなオオカミさんを見に来てるのかな……。
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