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その腕や指が動くたび目線は追ってしまう。
少しだけいつもより早い心音と、握った自分の手が少し緊張で汗ばんでる。
でもそれは全部、オオカミさんを見ているから。
ほかの人を見て、こんな気分になったことない。
ステージから離れたところにいるわたし。
前にはたくさんの女の子。
女の子たちの背中から伝わってくるのは、いまのここの空気を楽しもうとしてる気持ち、高揚感、そして――聞こえてくる。
「かっこいいよね」
「巽さんー!」
――黄色い声援……。
みんなオオカミさんを見に来てるのかな……。
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