どうでもいい独り言

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俺があの世界で勇者になってからいったいどれほど経っただろうか。 あの世界で魔王を倒し、そして新たな脅威にならぬよう俺はもとの世界に送り返された。 それをもう恨んではいない。 確かに、あの頃は命がけで闘った俺への扱いに対して怒りしか沸かなかった。 しかし仕方のないことだったと時間と共に納得はしていった。 怒りというものは一過性のものだ、とどこかで読んだが、なるほどこういう事かと今素直に思う。 ただ心残りは確かにある。 今もまだ心の奥底でくすぶり続けている。 それはもう叶わぬ願いであるし、それを欲するのは果てしなく無意味だ。 だが夢というものは叶わぬから夢である様に人は届かねものを追い求め続けるのだ。 そこまでわかっていながらも、俺は諦めることを、捨てきることが出来なかったんだ。 望んでしまったんだ。 だから、俺は間違えたんだ。
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