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『ねぇ』
と書かれたノートを私に見せてくる。
『なに?』
と私は書いた。
教科書がないから見せて上げているのに、結構この男は余裕なのだな、と感じた。
転校初日ぐらいは授業を真面目に聞けばいいのに。
『花』
『はな?』
『なんだっけ』
『?なにが』
『一番前の棚の』
転校生は顔をあげて私に目配せし、シャーペンで黒板の横にある棚を指した。
あぁ、と私は思った。いつも違う花があの場所には置いてあるのだ。
『うぬぼれのやつ』
『うぬぼれ』
『名前は忘れた』
私が書いたあと、転校生ははにかんだ笑顔を見せた。
私もつられて笑顔になってしまった。
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