POLOGUE

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 暗い部屋。  カーテンが閉め切られ、物は円を描くように放られている。中央には椅子が1脚、そこに小太りの男性が1人座っている。男はロープで胴と手足を縛られ、口にはタオルを噛まされている。頭の上からびっしりと汗をかいている。雫が目に入ってしまい辛そうだ。口の隙間へ汗が流れ込むと、塩辛い味が口内に広がった。  男の周りをゆっくりと回る者が1人。顔は真っ白な人型のマスクで隠している。白いジャージを着て、手には軍手をジャージの袖が隠れるようにはめられ、足は靴下、さらにそれをビニールが覆っている。  縛られた男は何か叫んでいるが、会話の自由を奪われ言葉にならない。そんな彼を白い怪人はあざ笑う。だが声を聞かれたくないので極力堪えるようにしている。  そろそろ飽きてきたようで、怪人は次の作業に移った。部屋の入り口に持参したボストンバッグが置かれている。その中から1つお気に入りの玩具を取り出した。それを見て男はまた叫ぶ。しかしその叫びは誰にも届かない。  軽快なステップを踏んで怪人が歩み寄る。  何だ、何をする。男はそう言いたかったのだが、やはり上手く話せない。相手も質問に答えてくれない。オーバーに首を傾げて、態度で男を嘲笑している。そして、今取り出した玩具を男の体にあて、あることをした。あまりに恐ろしくて、男は思わず失禁してしまった。
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