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 撮影した写真とICレコーダーを持って、俺は都内のマンションに足を運んだ。昨日帰宅してから携帯を再確認すると、幡ヶ谷からメールが来ていた。内容は彼の住所。調べてみると、最近建ったばかりのマンションらしい。ちゃんと金は稼いでいるようだ。どんな仕事をしているのだろう。  入口から中に入って最初に目についたのは、オートロック式の自動ドア。左側の装置についたボタンを押して住人に頼んで開けてもらうのだ。  彼の部屋番号、503を押す。するとすぐに部屋と繋がった。 「俺だ、瀬川だ」 『待っていた。鍵は開けてある。インターホンは押すなよ』  その後、自動ドアが開いた。次はエレベーターに乗って5階に向かう。ここには階段が無い。この箱に乗らなければ上には行けないのだ。箱に入ってボタンを押し、目的の階に着くまで俺はずっと目を瞑っていた。  箱が5階につき、扉が開いた。エレベーターホールから通路が分かれており、503号室は右手の通路を進んだ先にある。外からの熱が体力を更に奪う。早く幡ヶ谷の部屋に入らなければ。熱で脳がイカレて、俺も犯罪を起こしてしまいそうだ。  部屋の前に立ち、インターホンのボタンに指を置く。そこではっとした。押すなと言われていた。鍵は開いているからそのまま開けて入れと。取っ手に手をかけてゆっくりと扉を引く。良かった、冷房が効いている。 「入るぞ」  返事は無い。返事を待たず、俺は靴を雑に脱いで部屋にあがった。
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