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どうやら幡ヶ谷は、一連の行程を「捜査協力」だと偽って友人に伝えているらしい。何が協力だ。その行為のせいで俺は毎回心臓がきりきりと締め付けられるような感覚に苦しんでいるのだ。
この後、清水は別の仕事があるためこの場で別れ、俺と幡ヶ谷は近くのファミレスに入って集めた情報を疲労しあった。こちらの方は情報というより感想に近いが。
「あの女、やっぱり何か隠してるぞ」
「ほう」
「俺が小西の名前を出したら、向こうの方からボロを出してくれた。小西の言う犯罪もそこで起きたんじゃねぇかと思うんだが」
「なるほど。君が真っ向から彼女に立ち向かってくれて漸く事件の尻尾を掴むことが出来たな。詳しいことは教えてもらえなかったようだが」
確かに。陽子は小西とはそりが合わない、小西が安城家の権威を失墜させようとしているなどと言っていたが事実かどうかわからない。自分のミスを隠す為の嘘である可能性が高い。
幡ヶ谷の方はもっと正確な、しかも手がかりとなりうる情報を得たらしい。
「安城陽子は、どうやら父親の武史氏との仲が悪かったようだ」
「父親と?」
「ああ。それに金遣いもかなり荒い。スタッフが一緒に飲みに行ったときもやたら高い酒ばかり頼んでいたと言うからな。その点でも父親から釘を刺されていたようだ。電話で言い争いをしている姿を目撃したスタッフもいる」
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