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#6

 次の日。  昨日までにわかったことは新田にも伝えたが、決定的な証拠はまだ出ていない。取り敢えずまた坂口に頼んで一緒に来てもらった。安城家の周辺で聞き込みをすることにしたのだ。もしかしたら、安城家のちょっとした変化や、何か大きな荷物を運ぶ人影を見ている人がいるかもしれない。 「何か、わかりませんかね」 「いやぁ、わかんないねぇ。大体あの人達の世界は、私達みたいな貧乏人とは違うからねぇ」 「そうですか……ありがとうございました」  しかし、思った様な証言はなかなか出て来ない。安城家は大使館みたいなものだ。日本にあって、日本ではない様な空間だ。そんな家の住人のことなど、他の住人がよく知る筈も無いか。 「しかしよぉ瀬川、本当なのかよ?」 「何が?」 「安城家で殺しがあったってことだよ」 「ああ間違いない。昨日本人に会ってわかった。絶対にやってる。正確には、殺したのは小西だろうけどな」  と、幡ヶ谷に推理してもらったことを得意げに話した。坂口は表情を変えずに、適当に相づちを打って俺の話を聞いている。
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