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「どうだ?」  俺が意見を聞くと、 「それは良いけど、お前単独行動はマズいって。流石の新田さんも泣いちゃうぜ?」 「泣くって、そりゃあ無いだろ。これで犯人を検挙出来るかもしれないんだぞ? 泣くにしても嬉し泣きだろ」 「殺人があったってのもあくまでお前の脳内の話だろ?」  それを言われるとこちらも弱くなる。昨日幡ヶ谷も言っていたが、今回の事件では凶器も遺体も出てきていないのだ。  仕方なく、今日はその場で解散して後日出直すことにした。面倒臭がりな坂口は眠い目を擦りながら先を歩いてゆく。  ちょうどそのとき、幡ヶ谷から電話が掛かってきた。アイツの方から電話して来るのも珍しい。何かわかったのかもしれない。 「どうした?」 『君の話を整理して考えた。大事なことだ、すぐに調べてほしい』 「ああ、勿論だ」 『小西には弟子がいたと言っていたな』 「そうらしい。今は個人で店を持っているとか」 『そのとき、小西は弟子に何か渡したとも言っていたな?』  幡ヶ谷はよく覚えている。これらの情報は自分が集めたものではないから、俺の中ではぼんやりとしか残っていなかった。 「ああ、確か。小西が使ってた……あっ!」  やはり幡ヶ谷に頼んで正解だった。俺は勝手に電話を切り、前を行く坂口を無理矢理止めた。
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