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 某居酒屋の、中性的なママが答えてくれた。 「全く困っちゃうわよ。ここで死なれたら営業妨害じゃない」 「まぁ、そうですね」 「何が“まぁ”よ! 人の気も知らないで! 良い? アタシ達の世界も日々戦いなの! アンタ等みたいな公務員はアタシ達を馬鹿にするかもしれないけどねぇ……」  よっぽど鬱憤が溜まっていたようだ。このあと10分弱も愚痴を聞き、漸く解放された。聞き込みの後、今度は坂口の文句を聞く羽目になった。 「何だよあのババァ。あ、正確にはジジィか」 「そういうことを言うもんじゃねぇよ。でも、あの人の言うことも確かにそうだよな」  自殺者が出たとなれば、このビルに足を運ぶ客の数も減るだろう。それはちょうど、たった1回の不祥事で店を閉めることになった小西のように。自分の店と同じような境遇にしてやりたい。彼はそう考えて、山等の人気の無い場所ではなく店の入っているビルを選んだのだろうか。……いや、考え過ぎか。  このあと何軒か聞き込みをしてから、俺達は現場を離れた。状況を覆す様な証拠は出て来ないだろうと踏んでいた。
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