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 それより気になったのは小西自身の情報だ。彼は自分の家を持っておらず、自殺する3ヶ月前からはホテル暮らしをしていたらしいのだ。  これらの資料をひと通り読み終えると、幡ヶ谷は眉間に皺をよせて俺に尋ねた。 「君はいったい、何を調べてほしいんだ?」  ごもっとも。これらの情報だけでは殺人事件の証明にはならない。誰も小西といざこざは起こしていないし、関係者は誰も死んでいないのだから。 「殺人だよ。まだ世に出ていない殺人」 「世に出ていない……まぁ良い。で、レコーダーは」  残念ながら、そちらの方は全く用意出来なかった。というのも、小西が雇われていた家に行こうとしたのだが、連中は性悪なヤツばかりで、アポを取らないと応じないとぬかしてきたのだ。殺人事件の調査だと言っても、世に出ていない事件であるためまともに取り合ってはもらえなかった。  一部始終全てを話すと、幡ヶ谷は腕を組んで俯いた。 「実に面倒だな」 「ああ」 「そもそも、まだ誰も知らない、ましてや捜査以来も出ていない事件だというのに、何故殺人事件があったとわかったんだ?」 「遺書に書いてあった」 「遺書?」  多分見せろと言われるだろうと思ったので、ちゃんとコピーも取ってきた。見つかったら処分は免れないだろう。
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