PROLOGUE

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 11月某日。  幡ヶ谷康介は東京を出て自身の故郷に戻り、ある場所に向かっていた。  1通の手紙を見ながら歩を進める。町が上京する前と同じ姿を保っていたらこうも迷うことは無いのだろうが、駅前は開発が進み、幼少期には無かった店が建ち並び、道を把握するのにも時間がかかってしまう。タクシーでも拾えば良いのだが、急用だったため所持金が少ない。徒歩なら疲れるが金を温存することが出来る。  駅から歩いて20分。漸く目的地に到着した。時刻は午後5時を回っている。ぎりぎり間に合った。  しかし、本当なら来たくはなかった。手紙を受け取ったときは夢ではないかと疑ったものだ。だが、現地に到着してその様子を目の当たりにし、やっとこれが現実の出来事であると認識した。  1度深呼吸をしてから、幡ヶ谷は葬儀場へ入って行った。
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