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 椅子に腰掛け写真と資料を1枚1枚丁寧に確認する幡ヶ谷。それが済むと今度はレコーダーの音声を聞き始めた。 「事件はアパートで起きた」 「知ってる」 「ちっ、こっちは詳しく教えてやろうと……」 「ニュースで観た」  いちいち苛つく男だ。1度コイツに恥をかかせてやりたいものだ。  が、その前にとんでもないことが起こった。突然レコーダーから俺の声が聞こえてきたのだ。 『犯人が言い逃れ出来ないよう、きちんと証拠を見つける。それが重要なことだ』  あのときだ。  日下部に教訓を伝えたとき。俺はレコーダーの電源を切り忘れていたのだ。恥をかかせる前にこちらが恥をかく羽目になるとは。幡ヶ谷は真顔で俺の言葉を聞いている。 「なるほど」 「何がなるほど、だ」 「いや。まぁまぁ良いことを言っていると思うよ」 「ちっ。それで、事件の方はどうなんだよ?」 「さぁね。でも必ず解く」  コイツの推理力は本物だ。間違いなく事件を解き明かす。 「まず、通報の件だが……これはあてにならない。それからロープの件も鑑みて、その木村という男が犯人である可能性は極めて低い」 「やっぱりか」 「だが確証は無い。まずは被害者の交友関係から洗ってみたらどうだ?」  友達を殺した、という通報。被害者・三好由美の別の友人が犯人である可能性もある。それから、幡ヶ谷は別の案も提示した。木村の友人が、彼に罪をなすり付けようとしているという案。となると両者の交友関係を調べる必要がありそうだ。
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