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幡ヶ谷宅を出ると、俺はすぐに日下部に電話をした。坂口でも良かったのだが、多分アイツは来ないだろう。疋田に因縁をつけられるのを恐れている。
電話を切ると、俺は早速2人が通っていた大学に向かった。日下部とはそこで合流することにした。
幡ヶ谷宅から車で大体1時間程のところにその大学はある。ランクは低く、こう言っては難だが人気がない大学だ。今も門の前でゲームをしている学生がちらほら。皆スマホに夢中で、誰かと話をしている学生は少ない。これでは情報を聞き出すのは難しいかもしれない。
日下部は正門の前に立っていた。寒そうに震えている。
「悪い、遅くなった」
「い、いえいえ。そんなに待ってないです」
「良いよ、気ぃ使わなくて」
取り敢えず手当り次第に聞いて回ることにした。職場で調べていては疋田達に知られてしまうかもしれない。そうなれば日下部の首も危なくなる。
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