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 しかし、予想通り捜査は難航した。木村隆俊とは仲良くない、三好由美とは親しくない、といった答えばかり。更に驚いたのは、そもそもその2人を知らないと答えた学生が半数近くいたことだ。彼等は淡々と答えると再び携帯の画面とにらめっこを始めた。 「全く、何なんでしょうね? これだから底辺の連中は……」  日下部が言いかけたところで俺が止めた。日下部も理解してすぐに黙った。焦りが彼の悪い一面をさらけ出してしまったようだ。  彼は名門私立大学の出身。素直で良い部下だと思っていたが、この一面は少し残念だった。日下部は小さい声で謝罪した。  この後何時間も聞いて回ったが有力な情報は全く得られなかった。教授等にも聞いてみたが、2人に関して詳しいことを知る者はいなかった。 「駄目でしたね」 「ああ。大学が駄目だとすると、バイト先とか、前の予備校とかか」 「いえ、来る前に調べてきたのですが、2人ともバイトは転々としていたらしく、他者との交友関係も無かったらしいです。予備校にもあまり顔を出していなかったそうで」 「そうか……弱ったな」  幡ヶ谷の予想が潰れることになるとは。2人を憎んでいた者はおろか、そもそも彼等のことをよく知る者がいなかった。では犯人はいったい誰なのか。疋田達が睨んでいる通り、やはり木村が三好を殺したのか? いや、それは無い。証拠がそれを物語っている。
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