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#1
真夜中に事件発生。今日もまた睡眠時間が削られる羽目になった。
こういうことを刑事である俺が言うと文句を言われるかもしれないが、俺達だって人間だ。ちゃんとした休みが欲しい。でないと捜査にも支障を来す。先程も手袋をはめずに遺留品に触りそうになり、上司に怒られたところだ。
仕事を終えて帰ろうとしていたところへ新たな通報が入った。場所はこのアパートの近くに残っていた公衆電話。相手は「友達を殺しました」とだけ告げて電話を切ったと言う。土砂降りで声はハッキリとは聞き取れなかったらしいが、男であることは間違いないらしい。そして現場に来てみると、住人達に取り押さえられた若者が1人。そしてそのすぐ近くに気をつけの姿勢で横たわっている少女が1人。男は容疑者としてすぐに連行された。現在犯行を否認しているがいずれ認めるだろう。
監視カメラには、アパートから出て公衆電話の方に向かって行く黒いジャンパーを着た人物の姿が捉えられていた。殺害後、1度電話をかけに外に出たということか。
容疑者が捕まっているため別に必要は無いのだろうが、俺は癖でいつものようにカメラを取り出し、現場や遺体の写真を撮ってしまった。あの男、幡ヶ谷康介のせいだ。事件に関する情報を得るために、ヤツは俺に写真を撮って来るよう命令した。それだけではない。聞き込みのときも証言を録音するよう命じた。今回も、別に必要は無いのだが、こうして隣人達の証言をレコーダーに録音している。
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