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被害者宅の隣室に住む老婆は、若干嬉しそうに俺の質問に答えている。馬鹿馬鹿しい、これはテレビの取材ではないのだ。少女が1人殺されているのだ。この老婆にとっては、そんなことはどうでも良いのだろうか。
「今日は何か物音が聞こえてね、何かしらと思ってたのよぉ。そしたらこの有様じゃない? もうびっくりしちゃってねぇ」
「あぁ、そうですか」
思わずあくびをしてしまった。老婆が眉間に皺をよせて俺を睨む。
「すいません。……他には何か気になることはありませんでしたか?」
「気になること? 無いね。今日は夜から隣がうるさかった。それだけ」
俺の態度を見て拗ねてしまったのか、老婆は淡々と質問に答えた。面倒臭いことこの上ない。
「そうですか。ありがとうございました」
一応礼を言って、俺達は部屋から離れた。
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