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 後日。  容疑者・木村隆俊はまだ容疑を否認しているらしい。現在も取り調べが続いている。俺は隣の部屋から様子を窺っている。 「てめぇ! いつまでシラ切るつもりだ! とっとと認めろ!」 「俺は呼ばれただけなんですって!」 「嘘ばっか言ってんじゃねぇよ! お前通報したんだろうが!」 「通報? してない! してないって!」 「公衆電話からかけただろうが! 携帯持ってなくて、それで公衆電話使ったんだろ! ああ!?」  逮捕されたとき、木村は財布以外の物を身につけていなかった。確かにそれなら公衆電話を使ったことも頷ける。通報したものの、やはり捕まるのが怖くなって名を名乗らず、遺体を運び出そうとして見つかった。それがこの刑事達の推測だ。  それにしても、何だか取り調べをしている警官達が躍起になっているような気がする。木村の向かい側に座る疋田道正はデスクを叩いたり怒鳴り散らしたりして相手を威圧している。おまけに木村の周りを数人の刑事が囲んでいる。これではどちらが悪人だかわからない。
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