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「お父さんに聞いてみるよ」
大人に聞いてもこたえが得られるかどうかは自信がなかった。なにせ月神人は月神獣を殺すことしかしないから、なにを食べているか知る必要がない。月神人が、月神獣についてなにもかも知っていると考えるのは都合のいい希望にすぎなかった。
「そうか。じゃ、おれは秘密基地の材料に、もっといいのを持って来るよ」
銀次郎がそう言って、分担が決まった。
ともかく、もう陽も傾いてきていた。夏の夜は遅い。明るいといっても時刻は七時をすぎてしまったりするから、早く帰らないとまずい。
「ここにいるんだぞ」
幼い月神獣に向かってしっかり言い残して、二人は自称・秘密基地を後にした。
「逃げたりしないかなあ……」
と、何度も後ろを振り返りながら。
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