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わいわいと騒がしい声を背中に受けながら、三キロの月神獣の肉の入った発泡スチロールの箱を持って集会所の外へ出ると、もうとっぷりと陽は暮れ、光量の頼りない街灯が人通りの絶えた商店街をむなしそうに照らしていた。
自宅へと歩きながら勇樹はつぶやいた。
町興しか――。
たしかに会長の言っていた通り、勇樹の薬局も例外ではなく、売り上げがここ数年落ちてきていた。薬という生活必需品であることもあって極端な落ち込みではなかったが、なにかしなければならないとは、勇樹も思ってはいた。しかし……。
なにをすればいいのだ?
勇樹は星空を見上げる。都会から遠く離れたこの里の空には、天の川がくっきりと流れていた。
途方に暮れた。
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