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しかし……。
「魔草が足りなくなるんじゃないか?」
銀次郎はあまりにも食欲旺盛なシロを見て心配した。
「そうかも……。もっと集めてこようか」
「うん。そうしようぜ」
二人して魔草の追加を集めに出て行った。
頂上の広場に着くと、二人とも汗だくだった。とくに航聖はこの日二度目だ。いくら小高い丘程度とはいえ、夏の暑い盛りということもあって。
持ってきたペットボトルのお茶もすっかり熱くなっていた。熱中症にならないようにと、それを少しずつ飲んではいくが、飲むしりから汗となって出て行く感じだった。
ピンクの魔草を、今度はさっきより多めに刈り取った。もう一度ここへ集めにいくのはこりごりだったから、なるべくたくさん。
二人ともレジ袋に入りきれないほど詰め込んで秘密基地へと坂道を下る。
「こんなに刈り取っても大丈夫かなあ……」
歩きながら、航聖が心配する。
「どういうことさ?」
銀次郎は、不安を口にする航聖の気持ちがよくわからなかった。
「魔草がなくなったらどうしよう……と思って」
魔草は無限に生えているわけではない。花をつけて増えていくにせよ、月神獣についた種が芽を出すにしろ、それでシロの食べる分をまかなえるのかどうかわからない。もし魔草が枯渇してしまったらどうなるんだろう。
それを言えば、この先、シロが大きくなってきたら、ということに当然、思いが至ってもいいはずなのだが、そこは遠い未来が見通せない少年たちだった。
シロはちゃんと待ってくれていた。
すでに最初に航聖が最初に持って集めてきた魔草は食べつくされていて、まだ食べ足りない様子。あれだけの食べた草が、あの小さい体のどこへ行ってしまうのかと思うほどである。
そこへ大量の魔草を追加した。
シロはまたガツガツと食べ始めた。
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