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 翌日も昼食後に二人で上大岡に出掛けた。電車で3分、徒歩で30分。貴重な小遣いを電車賃に回す余裕は無い。  昨日同様、清水坂を上るまでは二人で自転車を押し、下りになったところから鎌倉街道に入るまでは二人乗り。  この清水坂から打越経由で関の下に出るルートは、きちんと舗装された道路にしては交通量が少なく快適である。  今日はアイスも買わずにまっすぐミスボウルに向かう。  私はかなり気合が入っていた。  昨日とは違う。今日はちゃんと戦略がある。  1回10円の「ビッグレース」なら10回以上は出来る。  そこで基本的なフリッパー捌きを身に付けるのだ。  ミスボウルに到着すると、クロンダイクは昨日と同じ中学生三人組に占領されていた。  兄は舌打ちをしたが私は構わなかった。  最初の作戦通り「ビッグレース」を探す。  いや、探すまでもなかった。一番右端に他の台より二回りほど小さい小型のピンボールが置かれていたからすぐにそれだとわかった。  名前からもわかる通りカーレースを題材にしたピンボールで、バンパー類の汚れ具合等から見ても相当古い型式なのがわかる。  盤面中央に”LAP”という100点役のロールオーバーが有る以外は全て10点。  値段が安いだけあってあまり面白みは無い。  だが面白くなくても良かった。今日は練習をしに来たのだ。  まずは左右のフリッパーを別々に動かすところから始める。  右に来たボールは右のフリッパーだけを上げて弾き返す。  左に来た時は左だけ使う。  それ程難しいことではない。これはすぐに慣れた。  不思議なことに、この左右別々に動かすという基本中の基本ができるだけで随分と素人っぽさが消える。  なんだか急に自分が上級者の仲間入りをしたようで私は嬉しくなった。
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