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笹釜道を五分ほど走ったところで兄が自転車を止めた。駄菓子屋の前だ。
「降りろよ」
兄が自転車を止めた理由がわかったので私も素直に荷台から降りた。目的はアイスだろう。
駄菓子屋の中は薄暗く、ちょっと埃臭い。
先客が三名ほど居た。半ズボンにTシャツに坊ちゃん刈り。
どこの学校かわからないが小学生であることは一目でわかる。
背格好からして三~四年生というところか。
彼等は「よっちゃんイカ」をしゃぶりながら店の隅にある一台のピンボールに興じていた。
(当時ピンボールのことをフリッパーと言っていたが、玉を打ち返す”腕”の部分もフリッパーなので、混乱を避けるためにピンボールと書くことにする)
チューチューアイスを吸いながらしばらく彼等のプレイを眺めていると、兄が私の脇腹を小突いた。行くぞ、という合図である。
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