第1部 双威篇 第1章 始まりのとき

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どれほどの兵を失っただろう。 死んでいった者たちにも家族がある、これからの人生があった。 しかし、この尊い戦争という闘いで全てを失う者たちが何百、何千人といる。 一国を収める将として見過ごせはない。 だが戦争へは犠牲は付き物。 それは言い訳ではなく列記とした事実である。 燃え盛る大地の上を一匹の馬が駆け抜ける。 それを跨ぐは背の低い青年。 顔はきりっとしており、目は真剣。長い髪を結んでいる。 横へもう一匹の馬が現れ並走し、上に跨る男が言う。 男「ソウイ様!西の軍勢より報告です!!敵軍の軍師、シャトラが戦場に姿を現しました!」 ソウイと呼ばれた男も答える。 ソウイ「それは誠か!ならば我ら中衛隊でシャトラを一網打尽だ!」 男「わかりました!お前らァ!!このまま直進だァァ!シャトラを討ち取るぞ!」 男は後ろの馬達にそう言うと血相を変えて前を睨んだ。 ソウイと呼ばれたのは、 この国、慈庵を纏める一人の名のある将軍である。 まだ若くし、当時将軍だった父を戦争で失い現在の地位へつく。 そして、今戦争をしている敵軍の将軍は 餓鬼(ガキ)と言う名で、数年前ソウイの父 角威を討ち殺した張本人である。
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