プロローグ

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本当に大好きで、私はまだあの時から動けずにいた。 私だけ止まったままの時計。 何度見ても秒針は同じ位置を指していて【カチッ】っていう音なんてもう何年も聞いていない。 動かない秒針の代わりに月ばかり眺めるようになった。 満ちていく月 欠けていく月。 月が欠ける度に貴方への当て付けのように肌をさらす。 「いつか、お前を迎えに...」 夢のなかで聞いたあの声は、私の願望が聞かせた幻だったのかな ねぇ、朔。 迎えに来てよ 「来るわけない...か」
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