家政婦?召使い?

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「ご苦労様。そこに置いといて」     大志はパソコンに向かいながら自分のデスクの空きスペースに指を指す。 相変わらず私の方は全く見ていない。 恐る恐る忍び足でデスクに近づき、そっと弁当箱を端のほうに置く。 大志はすぐさま袋と弁当を開ける。 翔子はギョッとするが、大志はパソコン画面を食い入るように見たままお弁当を箸でつつこうとする。 もう見るに耐えず、部屋を出ていこうと後ずさりする。 「し、失礼します」     くるっと振り返り、そそくさとドアノブに手をかける。 「高田翔子ッ!!」     いきなり大声での私の名前を呼ばれる。 「はいぃッ!!」 シャキッと背筋が伸びる。 「うちの風呂場は2階のトイレの隣にあるぞ」 「……」 汚れた自分を冷めた目で見つめ直す。 ーーあ、そう。気づいてらしたのね……。
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