兎と猫 そして神様

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訪れたものに幸福が訪れる…だったっけ?そんな感じの言い伝えがある迷い家に紫の命令で訪れていた。 迷い家じゃなくて片仮名でマヨイガだったかな。いや、そんなことはどうだっていいか。 さてさて、私にどんな幸福が訪れてくれるのかな? 「美月さん!」 おや、幸福の女神は可愛い猫耳女の子だったようだ。守矢神社の神様も女の子の姿をしているらしいから、幸福の女神が猫耳女の子だというのも…はぁ… もういいや、普通に橙と話そう。 「時間通りだね。さすが藍さんの式なだけあるよ」 「それほどでも…って、褒めたってごまかされませんよ!約束の時間より1時間も遅いじゃないですか!」 橙は私に厳しい。1時間も遅れたのは事実だけれど、私でなければ怒鳴ったりは多分しないと思う。 どうして橙が私に厳しいのか。それは橙にとっては重大なことなのかもしれないけど、私にとってはどうでもいいことで… 「聞いてますか!」 「え?ああ、うん。橙の可愛い声を聞き逃したりしないよ」 「からかわないでください!」 うーん…出会った頃はすぐに照れておとなしくなってくれたんだけどな。 怒鳴りすぎで橙の声がガラガラにならないか藍が心配しているから注意しないと。 「で、何の話だっけ?」 「ほら、聞いてないじゃないですか」 紫の命令だから仕方なく来たけれど、どうしてわざわざマヨヒガまで来ることになったのか何も聞かされていない。 これから橙が話してくれるだろうから考える必要はないか。 「いいから場所を教えてください。運んであげますから」 「ん?何を言ってんの?」 「え?」 これから橙の仕事を手伝うことになるのかと思ったけれど、橙は私が仕事内容を知っていると思っていたらしい。 えっと… 「確認するけど、橙は仕事内容を何も聞かされていないのかな?」 「はい…美月さんも知らないのですか?」 これはつまりあれか。 「紫の伝え忘れかな?これは困ったね」 「そうですね…仕事が終わらないと帰れませんよ…」 まったく、仕事をするだけでも面倒だってのに、仕事の内容から調べないといけないのか。 もう、このまま帰っちゃおうかな。
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