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「最近、蜂くんガリガリでしょ?お母さんが心配してたんだよー。死んじゃったりしないかって」
その心配は、恐らく僕が死ぬということより稼ぐことが出来なくなってしまうからだろう。
「だから、今日はお母さんがちゃんとご飯食べさせなさいってカツ丼作ってくれたんだよー」
最近では、まともに食事を貰えることも無く、最後に食べたのが3日前の手羽先のから揚げ…それも骨のみだ。
空腹も限界を迎え、今では立っていることすら辛い。
本当は座りたいけど、座ったら生意気だって酷い仕打ちを受けるんだろうな…
そんな事より早くカツ丼だ…
食べる物さえ食べられれば立っていることも然程苦にならないだろう。
「でもね、お腹減っちゃったからあたしが食べちゃった!!ごめんね」
あぁ…そうか。こいつはそういう奴だった。
「でもお母さんにはしっかり食べさせなさいって言われてるし…」
だったらなんで摘み食いで全部食うんだよ…
「な、何でも良いんで、なにか食べ物をお願いします。もうお腹が減り過ぎて頭がおかしくなりそうなんです…」
「そうだよね、…じゃあちょっと待ってて!!」
そう言うと美鈴さんはパタパタと走って外に出て行った。
家に食べ物を探しに行ったのかな?
何にしろ今日はまともな食事にありつけそうだ。
まだ希望はある。
待つこと5分ほどか、美鈴さんはコンビニ袋をぶら下げて現れた。
「おまたせ!今度こそ持ってきたよ!!」
「ありがとうございます。早速のところ悪いんですが頂けますか?」
ここまできて機嫌を損ねる訳にはいかない。
空腹感を抑え込み、言葉にも気を遣う。
「もっちろん!じゃあ、蜂くんあーんして」
「あ、あーん」
口を開けた直後に思ったさ。
こいつに対して、流石に不用心過ぎたって…
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