15年前

7/10
前へ
/10ページ
次へ
少し調子に乗り過ぎたかもしれない。 まぁ、晩御飯の後にでも謝罪ついでに勉強を教えてあげよう。 幼稚園児に勉強を教えてもらう中学生もどうかと思うけど…。 とりあえず、晩御飯まで僕は僕の勉強をしようかな…。 ーーーーーーーーーーーーーーー 「晩御飯の時間だぞー!」 ポンと頭に大きな手が乗せられた。 振り返ったら叔父さんのニコニコした顔があった。 勉強に集中するあまり、叔父さんの帰ったことすら気付いてなかった。 「すいませんっ!おかえりなさい。今日もお仕事お疲れ様でした!」 叔父さんは謝る僕の頭を豪快に撫でた。 「ハハッ、蜂くんも勉強ご苦労様!ただ根を詰め過ぎるのも良くないぞ。息抜きも大事だからね!」 「はい。心掛けます!」 「そんなに固くならなくてもいいのに…。さぁ行こうか」 叔父さんはそう言いながら溜息を一つ吐き、僕を食卓に行くように促した。 「いただきます。」 今日の献立は、白米、味噌汁、ハンバーグ、サラダ。 そうハンバーグである。 僕の大好きなハンバーグ。 この家に来て初めてのハンバーグ!! 「あら?蜂助くんもしかしてハンバーグ苦手なの?」 叔母さんの言葉にハッとする。 どうやら僕はハンバーグを凝視したまま固まっていたらしい。 「いえっ!大好きです!いただきます!!」 二度目のいただきますを言い、僕はハンバーグを頬張った。 それを見て叔父さんも叔母さんもニコニコ微笑んでいる。 美鈴さんは気配を消しながら黙々と食べている。前回のテストの点がバレていると思っているのか随分大人しい。言ってないのに… それよりも、なんかこのハンバーグ変な味が… あ…れ…なんだか眠…たく… 「ん?蜂くん…どうしたの?」 「な…んか…ねむ……」 「あ、そうそう。あなた…今日は蜂助くんから御両親の通帳預かったから。」 「あ?なんだよ…じゃあもう気を使う必要ねぇじゃねぇか。」 「蜂くん!!」 美鈴さんの叫び声と同時に僕は意識を失った。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加