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第37話 悟りでの苦悩
日の出の少し前。
テントから出てきたアリスは頭を抱えながら風の当たり洞窟の入り口に座り込む
顔色は昨日よりも悪い
アリス「…………はぁ……」
アッシュ「大丈夫?」
最後の見張りの番をしていたアッシュが森の方から帰ってきた。手には水の入った水袋を持っている
恐らく川から汲んで来たのだろう
アリス「………… 大丈夫……に見えたらビックリなんだけど……」
アッシュ「うん。でもとりあえず聞いてみたんだよ
……昨日も途中で起きてなかなか寝付けなかったんでしょ?」
アリス「……悟りが常にON状態だから嘆きの声が聴こえてくるの…… ″助けて″って……″生きたい″って
頭にずーっと言われ続けてくるの……。 何も出来ないのが腹立だしいわ……」
口に出せない苦しみを心で叫ぶ人は少なくない。
その為、悟りを持つ神子は辛い
聞こえていても何も出来ない。手助けが出来ないのだから
悲しい顔をして洞窟の壁に寄り掛かる。目の下は泣いていたのか赤く晴れている
そんなアリスの前に座り、手を取って目を見た
アッシュ「……君がそんな哀しい顔は似合わない
やっぱり、テンションの高い、意地悪な方がいいのさ♪」
アリス「それは誉めてるのかしら……(怒)」
慰めついでに貶されてる感があるようで……
殴ろうとしてきたが軽いパンチだったのであまり痛くない
ため息をつくアリスの頭を撫でる
アッシュ「その能力 僕が預かろうか?」
アリス「預かる?」
アッシュ「簡単に言えば奪うって感じさ
あ、でも森から出たら返すよ
戦中は煩くて安眠出来ないんでしょ?」
預かると言われて戸惑う。それもそうだ
普通出来るわけのないことだから
アリス「でも……」
アッシュ「大丈夫だから
それとも不安かい?」
諭す様にニコニコしながら言うと少し考える
アリス「……なら……一日……」
アッシュ「ん?」
うまく聞き取れなかったので首を傾げて耳を傾ける
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