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「ごめんね、俺も片想いのツラさを痛い程知ってるのに、林さんにもさせなきゃいけないんだね」
「…………」
「でも林さんの気持ちに応える事は出来ないんだ、ごめん」
林さんと呼ばれた彼女は少し間を空けてから、「大丈夫、藤崎くんに気持ち伝えられただけで満足だからそんな顔しないで?」と言って、頭に置かれた手をそっと下ろした。
「……仕事ではいつもみたいに接してくれる?」
「林さんがそれでいいなら」
「良かった……、じゃあまた仕事仲間としてよろしくお願いします」
「ん、よろしくお願いします」
王子様の答えを聞いた彼女は、笑顔で手を振って帰って行った。
残された王子様はしばらくその場に立ち尽くしていたけれど、私は彼女のナイスファイトに心の中で拍手を送りながら、出るタイミングを逃した事に少し焦っていた。
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