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王子様が先に行ってくれない限りは私も出口に向かう事が出来ない。
気にせず普通に歩いて行けばいいのかもしれないけれど、立ち聞きしていた後ろめたさからそうは出来なかった。
しばらく立ち往生していると、王子様に動きがあったのでまた覗いて見る。
「チッ……何が満足だ、満足したきゃ1人でオナってろよ、バカ女が」
――――…………。
いまいち状況が把握出来ない。
……待って待って……、今のセリフはあの王子様の口から発せられたもの!?
混乱した私は思わず後退りして、ミスを犯した。
ドンッ……カランカランカラン……
背後に置いてあったトルソーにぶつかり、そのまま床に倒して派手に音を立ててしまったのだ。
慌ててトルソーを元の位置に戻したけれど、それは後の祭りで……
「オイ」
と低い声で掛けられた声にビクリと肩を震わせ、恐る恐る振り向くしかなかった。
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